ひとことば

ロンドンで朝食

イギリスのメシはまずいことで評判だ。その評判が本当なのかを確かめるべく、ロンドンinのチケットを手配した。航空会社はタイ航空を選択。「評判どおり」だった場合に備え、経由地のタイに数日滞在して、後悔しないよううまいものを十分に食っておこうという算段である。

東南アジアからヨーロッパへのフライトは、早朝に到着するようスケジュールが組まれている。バンコックからのタイ航空便も、朝7時頃、ヒースローに到着した。

2階建てのAirbus(空港リムジンバス)で街に出る。本当は地下鉄の方がお安いのだが、初めて訪ねる街では「外が見える」乗り物の方がなにかと安心感がある。ハイドパークのあたりなど、地図で予習しておいたランドマークを確認しているうちに、ヴィクトリア駅に着いた。宿探しも難なく終わったので、荷物を預けて散歩に出かける。

機内食で出された朝食もきちんと平らげておいたが、少しだけ物足りない。とはいうものの、ここで中途半端に食べてしまっては昼飯の楽しみがなくなる可能性がある。ちょうど手頃なサンドイッチや菓子パンがならんでいる店を見つけた。日本のコンビニでも売っているような三角に包装されたサンドイッチをひとつ買ってみる。

まずは包装の具合や品質表示などを観察する。チンパンジーにそれまで食べたことのないエサを与えたときのような仕草であり、みっともないとは思うのだが、クセなので仕方がない。外観は「コンビニパン」とほぼ同様である。

おもむろに包装をあけてみる。「コンビニパン」同様、いささか乾き気味ではあるが、パンの手触りに違和感はない。食パンを1枚はがしてみると、普通にサンドイッチの具がならんでいる。異物の混入も認められなかったので、とりあえず「目視による確認」は終了する。

安全が確認されたところで、一口食べてみる。パンの乾き具合は触感による判断を大きく上回っている。食べ続けるのはかなり苦しいが、世の中には南欧の白チーズのように、「食べ続けているうちにウマさがわかる」食品もある。しばし忍耐である。

購入したパッケージにはサンドイッチが2つ包まれていた。それぞれを半分ずつ食べ終わったところで、検証を打ち切ることにした。とりあえず最初の検証の結果は出た。

「評判どおりまずい」に1票。