サファリ・ツアーに使われる車はニッサン・キャラバンの12人乗り。運転席の後ろに、3人がけの座席が3列ならんでいる。日本でいえば工事現場の送迎に使われているタイプとほとんど同じだ。ボディの色も同じく白。
こういってしまうと夢も希望もなさそうだが、「工事現場仕様」と違っているのは、車の真ん中、2列目と3列目の部分にかけて屋根をくり抜いたサンルーフが付いていること。このサンルーフから、「大のオトナ」が首を出して、動物を眺めるという仕掛けである。
ナイロビを発ったツアーは、昼過ぎにマサイマラ国立公園に到着。お待ちかねの野生動物とご対面する。
「シマウマだぞ!」全員が首を出すには少し狭いサンルーフをめぐって、「イス取りゲーム」が起きる。大人げないが、みんな夢中だ。しかし、シマウマはナイロビのレストランでステーキにされてしまうほどたくさんいる。気の弱いお人好しでも、サンルーフから写真を撮るチャンスは十分に与えられる。次に出てくるのはキリンだ。シマウマよりも少ないが、図体が大きいから、サンルーフの獲得に破れてもロングのショットならものにできる。
サファリ・ツアーの最初の2時間で、凡人の思いつく動物はほぼ見尽くす。ライオンだって見つけるのは難しくない。残りは居場所の違うカバと、午後の時間帯にはお出ましにならないチーターくらいだ。
運転手はめずらしそうな動物を求め、さらに車を走らせるが、その努力は報われない。シマウマ、キリン、ライオン...「凡人旅行者」はすでに「おなかいっぱい」で腕組み、居眠り。まじめな方はカメラの掃除をはじめたりする。
サファリ・ツアーには並々ならぬ期待をよせる方が多いらしい。6泊7日などというツアーを申し込む剛の者も多いそうだ。でも、ちょっと待った方がいいと思う。カメラの掃除をする6泊7日のツアーは長い。悪いことはいわないから、最初は2泊3日にしておけ。たぶん、人間の方が動物なんかより100倍おもしろいから。